タイで一尾まるごとの魚は、豊かさを意味します。結婚式に、新年の宴に、遠くから車を走らせる価値のある里帰りの食卓に、いつもこの魚が据えられてきました。なかでも愛されてきたかたちが pla tod rad prik です — 皮がぱりぱりとはぜるまで揚げ、それから甘辛いチリソースをまとわせると、たれは身の隙間という隙間まで入り込んでいきます。私たちがその大役を任せているのは、くせがなく銀色の身をしたポンパノ。揚げ油と仲のいい魚です。まるごとお出しするのは、それこそが眼目だから。一尾の魚、たくさんの手、そして幸運。